以前読んだ、百田さんの作品「永遠の0」とは全く異なる作風の痛快コメディー。
現代を逞しく生きる主人公と社会への皮肉を面白おかしく描いていて池井戸潤さんの作品に似ていましたね。
主人公の出版社部長は、出版業界が不況の中、自己顕示欲が強い現代の裕福な人たちをカモに、自費出版の話を言葉巧みに持ちかけ、200万円程を自己負担させて自分の著書を出版させる、「夢を売る男」。
出版する本の内容などクズとしか思っていないが、出版社側が必ず儲かるというビジネスモデルなので自費出版させることに意味があるのだ。
印象的だった言葉が、
「この商売で一番大事なのは、客を喜ばせることだ。人は精神的な満足と喜びさえ味わえれば金なんかいくらでも出す」
「現代では夢を見るには金がいるんだ。海外旅行に行くのも金がいる。いい服を着るのも金がいる。うまいものを食うのも金がいるんだ。金のかからない夢は、布団の中でしか見られないんだよ」
そんな現実的な主人公ですが、社員は大切にするし、自費出版をして生活が危うくなるような人はカモにしないというポリシーがあり、ラストはうるっとくる場面があります。
主人公が勤める会社のライバル会社が、これまた極悪な出版社で、社長がマルチ商法の元幹部という設定。ありえそう~という展開でそれもまた面白かったです(*^_^*)
さらっとサクサク読めて読後感スッキリで暇つぶしにはオススメです。
普段、中古で本を買ったり、すぐに本を売ることも多いですが、出版界のためにも⁈気になった本は買うようにしようかな(笑
何でもお金お金ではなく、そんな余裕が欲しいなと感じました。