こんにちは、みんとです。
さらっとですが、話題の本「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を読みました。
要約
前半では、数学者の著者、新井紀子さんの実験「東ロボくんプロジェクト」について書かれている。AIは東大の入試問題を解けるかを実験したが、MARCHレベルには楽勝で合格したが、東大合格レベルまではいかなかったそうだ。
また、全国読解力調査の結果、3人に1人は簡単な文章が読めないということが判明した。これはスマホやネットで簡単に情報収集ができるため、意味のある長い文章を読まなくなったためや、これまでの日本の詰め込み教育の結果だとも言える。
そして、今さかんに言われている、AIが仕事を奪うという現実。グローバル社会では日本国内だけでなく、賃金の安い発展途上国の人々と競わなければならない。請負の仕事は最低賃金を気にせず依頼できるので、賃金が高い日本には仕事がなくなるだろう。
最悪のシナリオとしては、企業は人手不足なのに社会には失業者が溢れている、AI恐慌が起こりうる。可能性としては、AIに代替されない仕事をし、奪われた職以上の職を生み出すことである。
また、AIに代替される能力を教育してきた今までの日本の教育を変えていく必要がある。
内容紹介
東ロボくんは東大には入れなかった。AIの限界ーー。しかし、"彼"はMARCHクラスには楽勝で合格していた!これが意味することとはなにか? AIは何を得意とし、何を苦手とするのか? AI楽観論者は、人間とAIが補完し合い共存するシナリオを描く。しかし、東ロボくんの実験と同時に行なわれた全国2万5000人を対象にした読解力調査では恐るべき実態が判明する。AIの限界が示される一方で、これからの危機はむしろ人間側の教育にあることが示され、その行く着く先は最悪の恐慌だという。では、最悪のシナリオを避けるのはどうしたらいいのか? 最終章では教育に関する専門家でもある新井先生の提言が語られる
目次
はじめに
第1章 MARCHに合格――AIはライバル
AIとシンギュラリティ
偏差値57.1
AI進化の歴史
YOLOの衝撃――画像認識の最先端
ワトソンの活躍
東ロボくんの戦略
AIが仕事を奪う
第2章 桜散る――シンギュラリティはSF
読解力と常識の壁――詰め込み教育の失敗
意味が理解しないAI
Siri(シリ)は賢者か?
奇妙なピアノ曲
機械翻訳
シンギュラリティは到来しない
第3章 教科書が読めない――全国読解力調査
人間は「AIにできない仕事」ができるか?
数学ができないのか、問題文を理解していないのか?――大学生数学基本調査
全国2万5000人の基礎的読解力を調査
3人に1人が、簡単な文章が読めない
偏差値と読解力
第4章 最悪のシナリオ
AIに分断されるホワイトカラー
企業が消えていく
そして、AI世界恐慌がやってくる
おわりに
AIは論理と確率と統計の世界以上のものは扱えない
感想
子育て中の身としては、今後子どもにどういった教育を受けさせ、どういった力を身につけておけばまともに生きていくことができるかということを知りたくてこの本を手に取った。現実問題、皆さんの周りではまともに生きていくことが困難になってる人を見たことがないだろうか?医療、年金制度は崩壊しかけているし、税金はどんどん上がるし、先行きは多難のように思える。社会保障や税金を払うために手取りは減ったのに忙しく働き、健康を害し、家族との時間もとれない、というのは珍しくない光景だ。
AIについては、 AIが生活の中に入ってきて大変便利になったと感じることが増えた。例えば調理家電やロボット掃除機、金融商品の自動売買などその恩恵は大きい。自動運転も近い未来に一般化しそうだ。
一方でAIの脅威も肌で感じることがある。事務職の仕事はAIに代替されるものが多く、今も十分少ないが今後さらに淘汰されていきそうだし、企業もAIにできることはAIに任せれば人員を必要としなくなるし、単純労働の賃金がさらに下がるどころか、日本から仕事がなくなる。国内には一部のエリート職と、低賃金の単純労働という2極化がさらに進みそうだ。
では中間層はどうやって生きて行けばいいのか?
著者は何の仕事とははっきり言えないが人間らしい仕事がAIに代替されない仕事で、どの仕事が真に稀少かはAIと自由経済の前で明らかになるという。また、AIに代替されないことで小さく起業することが生き残りの道として紹介していた。例としては糸井重里さん。ほぼ日の商品を販売したりしているが人気のようだ。それは彼のブランド力の成果だろう。また、高学歴女性への婚活サービスを立ち上げた人も例として挙げられていた。(このあたりをもう少し詳しく書いてほしかった)
また、介護や育児にはAIで代替できない仕事でありながらじゅうぶんな対価が支払われていないという。確かに、今まで家庭の中で女性が担ってきた仕事は賃金が低い。こういった仕事の価値が再評価され、介護や保育のなり手が増えれば中間層もまともに生きていける人が増えそうだ。
子どもの教育は、学校が変わらないといけないけれどまだまだ時間がかかりそうだ。家庭でプラスアルファでできることをこれからしていきたい。
この本に書いてあることは多くの人が知っているけれど実行するのに勇気や手間がいるだけのことかもしれないのだから。